第十八回 ギシル・コーヒー

コーヒー好きの人でもなかなか知らないものがあります。

それが、
「ギシル・コーヒー」

 

「ギシル」とは、コーヒーチェリー(実)からコーヒー豆(種)を取り出すときに得られる、種の外側の殻のことです。
そしてその外側の殻を煮出したものを「ギシル・コーヒー」と言います。
ちなみに我々がコーヒー豆といっているのは「ブン」と呼びます。

 

 それでは「ブン」(コーヒー豆)にいろいろ産地があるように「ギシル」にも産地があるのかというとそうではなく、
主にイエメンやエチオピアのものしかない。
これは「コーヒーチェリー」(実)から「ブン」(コーヒー豆)を取り出すときの精製方法がナチュラル方式(コラム参照)ではないと、飲用に出来るギシルを分離できないからです。
またそのギシルを飲む習慣がない国だとナチュラル方式でも肥料などにされてしまうのです。
ですから主にイエメンやエチオピア産になるのです。

 
コーヒーの原産国のイエメンでは我々が飲んでいる「ブン」のコーヒーではなく「ギシル・コーヒー」がよく飲まれています。
その肝心の味わいは、香ばしいコーヒーとは全く違いフレーバーティーや葛根湯に似ているそうです。
血行促進などの効果があるとされています。

 
つくり方は簡単で、水を張った鍋にギシルを入れてそこに香料(ジンジャー、カルダモン、クローブ、シナモンなど)と砂糖を加えて煮出します。
それを茶漉しで濾して出来上がりだそうです。

 
コーヒー原産国では皆さんも知らないコーヒーの楽しみ方があります。
当店でも良い「ギシル」が手に入れば「ギシル・コーヒー」を飲むことが出来るかもしれません。