お客様からしばしばネルドリップとペーパードリップの違いは何ですか?と尋ねられることがある。
大きな違いは味の複雑さが違う。
濃さとはまた別で、口に含んだときの情報量が多いという意味合いが近い。
わかりやすい風で述べるなら「まったり感」がペーパー抽出よりも出る。
まったりとは、柔らかさのなかにコクがある様子。重みがあって奥行きがある様子。
というが、まさに「まったり感」こそ大きな差異だ。
ペーパー抽出では、どちらかというとスッキリと透明感のある味わいが強くでる。
ネル抽出では、まったりとコクのある味わいが強くでる。
なぜこのような違いが現れるのかというと、ネルと紙の目の粗さに違いがある。
ネルは目が粗い。紙は目が細かい。
このことで、味覚を構成する化学物質の通過具合に違いが出て、味覚的な差異が起こると考えられています。
大き目の分子のものは、ネルの目を通過しやすいが、紙の目は通過しずらい。
「まったり感」を出す重要な要素は、油分だといわれているが、ネルの目では油分は通過し、紙の目は通過しない。
こうしたことで、ペーパードリップよりコクや奥行きが生まれる。
こうしたコクが生まれる利点もあるが、目が粗いということで嫌な成分も出やすい。
もしも飲みずらく、不味いコーヒーをつくるとしてもネルドリップの方がやりやすい。
ネルの目の粗さをうまく利用して、ギリギリに嫌な成分がでないように配慮して抽出を行うと美味しい「まったり感」のあるコーヒーが生まれる。