第四回 生豆について

今回はコーヒーの生豆について語っていこうと思う。

前回焙煎について語ったが、いくら焙煎や抽出が良くても生豆の持っている力以外のものは引き出せない。
つまりは、生豆の質がコーヒーの良し悪しを決めてくる。
なにを当たり前のことをと、思われるかもしれないが自分は強く実感している。

音楽にたとえるならば、生豆は楽譜だ。
優れた作曲家が作った曲は、優れた指揮者と演奏家がいればすばらしい演奏(すばらしいコーヒー)になるだろう。
ところが作曲された楽譜がたいしたことないと、いくら指揮者や演奏家ががんばってもその楽譜以上のものは引き出せない。
生豆が持っている力以上のものは引き出せないということだ。

生豆
生豆の時から個性のあるものを・・・

 

 

 

 

 

 

ではどんな生豆が良いのだろうか?
これはいろいろ自家焙煎店の店主なら一家言持っていると思うが、自分の場合は豆の個性につきると思う。
ブラジルならブラジルらしい味の上にその豆にしかない個性。
モカならばモカらしい味わいの上の個性。
どんな焙煎の度合いでも顔を出してしまうような個性の強さ。
これが良いと思う。
なかなかこういった豆はないのだろう。ちょっと自分が贅沢を言いすぎるかもしれない。
個性的な生豆というのは生豆の段階から独特な香りや肌触りを感じる。
生豆の時から湧き上がってくる香りと生豆を触った時のその触感。
繰り返しになるが、個性的な生豆を焙煎するとどんな焙煎をしても、おのずとその豆の個性は現れてしまう。
そういった豆が良いと思う。

これは最近よく言われている、ニュークロップ(当年度産の生豆のこと)は新鮮で風味があって最高の香味を発揮するという考え方は
悪いわけでもないがやや狭い考え方に思う。時間が経過したオールドクロップでも良いものはよいと思う。
ニュークロップでもオールドクロップでもコーヒーの生豆に個性が現れていればそれで良いと思う。
結果はお客さんに提供したときのコーヒーさえ良ければそれでよいのだから・・・
まだ長い目で生豆をみたわけではないが直感的にそう感じます。